約束のエンゲージリング
彼が社会人になってからは、仕事が終わった時間からプレゼントを買いに連れ出してくれていた。
勿論、今年もそうだと思っていた。
私にとってはプレゼントを買ってもらえるという喜びよりも、彼と2人きりで出かけられるのが〝デート〟みたいで、、それが何よりものプレゼントだった。
それがまさかの彼からのお誘い。
これを驚かずにはいられない。
口を開けたまま、呆然としていると彼が可笑しそうにクスクスと笑った。
『ははっ、なんでそんな顔してるの?行くの?それとも、、行かないの?まぁ急な話だったし千佳が行きたくないなら無理に行かなくても、、、ね?』
意地悪そうな表情で選択肢を用意した彼に慌てて声を上げた。
「行くっ、、!!絶対行く!!!!」
彼の服を掴んで食い気味に答えると、あまりにも滑稽な私の姿に彼は吹き出して笑った。
『はいはい。じゃあ明日準備が出来たら千佳の部屋まで迎えに行くから、寝坊せずに準備しておきなよ?』
「うんっ!!!」
『ならまた明日ね。』
気づけばアパートに着いていて、いつもなら離れがたくなる所だが直ぐに彼と別れて階段を駆け上がった。