約束のエンゲージリング
部屋に着くなり、クローゼットを勢いよく開け服を物色する。
3月は卒業や異動、退職のシーズンで休みが全くない。
だから出かけることがほぼ無いため、この季節の私服はあまり持ち合わせていない。
持ち合わせの私服でコーデしてみるが、イマイチで慌てて時計を確認する。
時刻は夜の7時すぎだ。
急げばまだ店も開いている時間であることを確認して、少し躊躇して携帯である人物に電話を掛けた。
「もしもし?千佳です!!あのね、、勝負デート服を買うのに付き合って欲しいの、、!」
10分後、直ぐにチャイムが鳴りバックを持って急いで外に出てると沙羅姉が立っていた。
「急なお願いでごめんねっ、、!?体調は大丈夫だった、、、?」
「大丈夫よ。今日は悪阻もないし、妊婦は病人でもないしね!それに可愛い妹が困ってるのに放っておける訳ないじゃない!!私ね?、、千佳が大人になってから頼ってくれなくなったから本当は少し寂しかった。だから今ね、物凄く嬉しいの。」
少し照れたように微笑んでくれた沙羅姉が本当に大好きで思わず抱きついた。
そして小さく呟いた。
「、、ありがと。沙羅姉大好き。」
「うん、、うん、、、!私も千佳が大好きだよ。」
しっかりと抱きしめ返してくれた。