約束のエンゲージリング
チラリと沙羅姉の方に視線を向けると、目を細めて優しい表情でこちらを見つめていた。
「、、本当、千佳は真っ直ぐで優しい子に育ったよね。やっぱり孝のお陰かな。ふふっ、実はね?家を出るときに孝からお金渡されたの。これで好きなやつ買ってやれって。だから千佳は素直に買ってもらったらいいのよ。昔からモノを欲しがらない所あるから無理矢理にでも買ってやれって言われてるのよ。」
「っ本当に、、?、、ありがと、大事に使うね。」
「ん。素直で宜しい!、、こんな事言うの失礼かもしれないけどさ、やっぱりご両親不在だと何処かに穴が空いたみたいになりがちでグレちゃったりする人が多いけど、、千佳は違うね。」
「え?だって私には孝兄もマサさんも沙羅姉もずっと一緒に居てくれたし〝寂しい〟なんて思ったこと一度もないよ?皆んなから沢山愛情貰ってたから。」
「え、、私も、、、?」
「うん?だって沙羅姉はずっと私の〝お姉ちゃん〟だったでしょ?え!?違ったっ!?!?」
産まれた時にはもう兄と恋人同士だった沙羅姉は、物心つく頃には当然いつも一緒にいてくれて可愛がってくれた。
だから私にとっては昔も今もずっと〝お姉ちゃん〟なのだ。
「違わないっ、、!ずっと千佳のお姉ちゃんだよ!!!私だけが勝手にそう思ってるだけだと思ってたから、、なんか嬉しすぎて泣きそう!!」
そう言った沙羅姉は本当に薄っすら涙を浮かべていて、慌ててハンカチを差し出した。