約束のエンゲージリング



「、、沙羅?どうした。俺にも言えない事か、、?」




気づけばボンヤリと考え事をしていて、孝の声にハッとなった。

目が合った彼は心配そうな表情をしていて、慌てて彼の隣に腰かけた。








「ごめんっ、少しボンヤリしてただけ。、、泣いてた理由はね、嬉しさと悔しさで、、かな。千佳が泣いてたのは違う理由だけど。」

「、、そうか。」

「うん、、。千佳がね、マサくんの過去を知りたいって、、、。だからマサくんには悪いけど勝手に話したよ。あんなに真剣な表情で受け止めたいって言われたら、話さずには居られなかったから。」

「、、、、、そうか。」









勝手に話してしまったことを、今更ながら後悔して俯くと優しく頭を引き寄せられ彼の胸板にぶつかった。

そして優しく抱きしめられた。







「、、マサの過去を知りたがったってことはそんだけ大人になったって事だろ?沙羅がそんなに気に病むことはない。それに、、漸く止まっていた歯車が動き出したんだ。あとは当人たちの問題だ。俺たちは見守るだけでいい。あの2人なら、きっと大丈夫だ。」

「止まっていた歯車って、、、どういう意味?」

「いや、こっちの話だ。」







よく分からない事をいう孝だったが、2人を1番よく知っている孝が大丈夫だというなら、、きっと大丈夫だと思えた。


< 49 / 284 >

この作品をシェア

pagetop