約束のエンゲージリング
何を考えいるのか読み取れない表情の為、何に対して怒っているのか全く分からない。
普段穏やかな彼からはあまり聞いたことのない少し低い声に早速ながら笑顔が崩れそうになる。
暗い顔しちゃ駄目だと、、絶対に涙は見せないと心に誓っていたのに目の奥が熱い。
それでも必死に耐えて彼に声をかける。
「せっかくの誕生日なのに、、またいつものお説教?今日一日、楽しみにしてたのに〜〜っ、、!!」
頬を膨らませてそう言ってみると、はっした表情をしてそれから困ったように優しく笑ってくれた。
『、、本当にそうだよね。ごめんね?あまりにも可愛いから心配になっただけでお説教とかじゃないから。遅くなっちゃったけど25歳おめでとう。その服、本当に千佳に良く似合ってる。』
「あ、ありがとっ。背伸びした甲斐があった!!」
好きな人から褒められて嬉しく無いわけがない。
彼の言葉に喜びを隠しきれずニヤニヤしてしまうと、今度は少し悲しそうに笑った。
『千佳がどんどん綺麗になっていって、嬉しい気持ちも勿論あるけどそれ以上に、、、寂しく感じるものなんだね?歳を重ねていくごとに千佳を遠く感じるなんて。孝もこんな気持ちなのかなって思うと居た堪れないな。』