約束のエンゲージリング
それはきっと兄目線からの言葉。
寂しいのは私の方だ。
折角また一歳年を取って貴方に近づいたと思っていたのに、反対に貴方は離れていく気がしているなんてあまりにも残酷すぎる。
結局、歳を重ねてもまた彼も歳を重ねて永遠に縮まることのない距離。
15歳という年の差は、あまりにも大きい。
だから今日、その長い長い片思いに終止符を打つのだ。
「ふふっ、何それ。そこは喜ぶ所だよ?妹の成長にね!っ、、さぁ!そろそろ出掛けよう?一体何処に連れてってくれるの?」
『そりゃ、こんなに立派なレディに成長した千佳に見合う所にだよ。外に車停めてるから行こうか。』
「うん!」
差し伸べられて大きな手を力一杯取って、彼と車に乗り込んだ。
楽しまなきゃ勿体無い。
車内で私の好きなミュージシャンの曲を掛けてくれて、くだらない事で笑い合いながら目的地へと向かった。
最初で最期の最高に楽しい時間の始まり。