約束のエンゲージリング
『デリカシーのないおじさんでごめんね?でも待って。はい、これで機嫌直して?』
そう言って掴まれた手に乗せられた小さな箱。
今日は本当に何が起こっているのだろうかと思うほどのサプライズの数々。
手の平に乗せられた箱を見つめていると優しい声が耳に響いた。
『これが本当に最後のプレゼント。ほら、箱ばっかり眺めてないで開けて見てよ。』
言われるがまま箱を開けると光輝くダイヤのピアス。
「、、、っなんでダイヤモンド、、?」
『4月の誕生石はダイヤなんだよ?、、って言ってもたまたまなんだけどね。ショップの店員さんが4月の誕生石だって教えてくれたんだ。それにダイヤって言っても金額だってそんなにしないから遠慮せずに着けて?千佳に似合いそうだったから買ってたんだよ。そのピアスを見た時思ったんだ。穢れのないそのダイヤみたいに千佳は真っ直ぐ育ったなってね。そう思ったら気づいたら衝動買いしてて。』
衝動買いでダイヤって、、やっぱり何処かズレてて、でも私を思い浮かべてくれて買ってくれたなんてそんな所が心から嬉しくて想いが膨らむ。
私の好きな人は、私を好きにさせる天才だ。
今日でこの想いとさよならすると決めているのに、パンパンに膨れ上がった想いがどうしようもなく溢れる。