約束のエンゲージリング
「、、、好き、、。」
『ありがとう。俺も千佳が好きだよ。』
溢れた本音はしっかりと彼に届いて、何も感じていないように好きだと返ってきた。
それがとてつもなく悲しくて、彼を困らせたくないと思っていたのに最後に困らせてみたくなる。
「違うっ、、!私は本当にマサさんが好きなの。!マサさんの好きとは違う、、。だってマサさんの事、兄だなんて思った事一度もないから!!!、、諦めようと思って何人か男性と付き合った事もあるけどやっぱり駄目だったの、、、。25年間、本気でマサさんが好きなんだよっ、、、!」
悲痛な叫びは狭い車内に木霊する。
シーンと静まり返る車内。
どのくらい沈黙していたか分からないけど、随分と長い間自分の心臓の音しか聞こえなかったと思う。
彼がスーと息を吸った音が聞こえて放った言葉。
『ごめん、、千佳の事そんな風に思った事ない。千佳は今も昔も、、ずっと大事な〝妹〟だから。』