約束のエンゲージリング
ちゃんと分かってた。
そう返ってくるって分かってた。
思っていたよりも冷静に彼の本音がストンと胸に落ちてきて、振られたのにどこか少しスッキリとした気分だった。
だからこれ以上彼を困らせてはいけないと笑顔を貼り付けて顔を上げる。
「うんっ、、。突然こんな事言っちゃってごめんね?ちゃんと、、分かってたから!!でもどうしても伝えたくなっちゃって、、。25歳っていう節目を迎えて、ちゃんと受け止めて前に進みたいなって、そう思ったの。」
『千佳、、、。』
頑張って明るくしようとしているのに、フラれた私よりも彼の方が苦しそうに表情を歪ませていて胸が痛む。
やっぱり言うんじゃなかった。
気持ちなんて押し付けるんじゃなかった。
私のせいで嫌な過去を思い出させてしまったんだと後悔した。
だから必死に取り繕う。
「やだっ!マサさんがそんな顔しないでよ。私は伝えられてスッキリしたよ?自分の中でちゃんと踏ん切りがついたから。だから明日からもいつも通りお願いします。えぇっと、、呼び方は、、マサさんじゃなくてこれからはマサ兄の方がいいかな、、?」
『千佳、、俺は、、、っ、、。』