約束のエンゲージリング
つい拳に力が入ると、それに気づいた孝が盛大な溜め息をついた。
「、、殴ってでも欲しいのか?それでお前の気が済むなら殴ってらんでもないが。そうじゃないだろ、、。正直俺には関係ない話だ。例え千佳が何処のどいつにフラれたようとも俺の出る幕じゃない。、、あいつも大人だ。口を出すのは違うだろ。」
『っ、、関係なくなんてないだろっ、、!?その相手の男が自分のよく知る男だったんだぞっ!?!?』
「そう熱くなるなよ。お前らしくない。第一に千佳はどういう反応だった?」
『、、酷く傷ついた表情をした後に、、笑ってたよ、、。』
「じゃあ、それこそ俺が言うことは何もないな。あいつもあいつなりに受け止めた結果だ。これ以上してやれることなんてない。」
『そう、、かもしれない。でも、、俺はっ、、、。』
「じゃあ、、2つだけいいか?」
目を細めてこちらに視線を向けた孝。
「同情なんてするなよ。そんな事すれば、かえって千佳を傷つける事になる。それと今後千佳が何を言ってきても、、それを止めるなよ?それがお前に出来る唯一の罪滅ぼしだ。」
『何を言ってきても、、か?』
「そうだ。」
その力強い眼差しに何を意図しているか分からなかったが頷くことしか出来ない。
『分かった。去り際は笑顔だったけど多分今頃泣いてる。だから近々でいいから様子を見に行ってやってくれないか、、?俺にはもうその資格はないだろうから。』