約束のエンゲージリング
心配になり、彼の方へ遠慮気味に視線を向けると困ったように笑ってポンと優しく私の頭に手をやった。
『話は終わってるから大丈夫。だから、、そんな顔しないの。』
「、、ごめんなさい。」
『だからいいってば。』
なんだか申し訳なくて落ち込んでいると、御船さんの楽しそうな声がした。
「そうそう、千佳ちゃんは何も悪くないんだからそんなに落ち込まないでいいんだよ。牧野君の早とちりだから。それに本当に話は終わってて世間話してただけだからね。ほら、その証拠に牧野君ホッとした顔してるでしょ。本当に千佳ちゃんの事、可愛くて仕方ないって感じだもんね?」
「そりゃあ可愛いですよ?俺にとって千佳は〝妹〟ですから。この子が産まれた時からずっと成長を見守ってきたんです。2人は俺の家族同然の存在ですよ。」
私の大好きな優しい笑顔で発した彼の〝妹〟という言葉が胸の奥に重たく響く。
「ははっ!そうか。そういうことか。でも、いくら千佳ちゃんが可愛いからってそうやって溺愛し過ぎていると婚期が遅れてしまうぞ?なぁ、千佳ちゃん。」
御船さんからポンっと背中を叩かれ、悪意のない耳の痛い言葉に唇を噛み締めて顔を上げた。