約束のエンゲージリング
「いらっしゃいませ。じゃあ、お客さんだからごめんね?沙羅姉、また夜にね!」
「うん、ご馳走作って待ってるよ。仕事中に邪魔してごめんね。また夜に。」
私の耳元で小さく囁いてから手振ってお客さんと入れ違いで外に出ていった沙羅姉。
そんな沙羅姉に小さく手を振ってお客さんに駆け寄る。
「大変お待たせ致しました。」
「あの、予約をしたいんですけど。あと配達とかお願いできますか?」
「はい!ご配送のご予約ですね!ではこちらにお届け先をご記入下さい。」
沙羅姉が代わりに怒ってくれたから、すっかりモヤモヤしたものも抜けて仕事に集中できた。
私は今、心から笑えている。
あとはマサさんがいつも通りに戻ってくれたらいいだけだ。
きっと戻れる。
楽しかったあの頃に。
時間が解決してくれる。
そう願わずにはいられない。
楽しかった日々を壊したかった訳じゃないから、、、。