約束のエンゲージリング

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あれからお昼すぎにバタバタと焦ったように客間から出てきた彼は少し眠れたようで、目の下のクマも薄れていた。

そして少しだけいつもの彼に戻っていてホッとした。





彼は何度も謝ってくれたけど、そんな言葉が欲しいんじゃない。

私はただ、いつものように馬鹿やって普通に過ごしたいだけだ。






さすがに帰る頃には腫れ物を触るような接し方ではあるが、ある程度普段通りになっていて安心した。


彼にもらったエプロンをロッカーに掛けて休憩所から出るといつものようにドアの近くに寄りかかっている彼。

あんな事があった後でも彼のスタンスが変わらない事に苦笑いを浮かべる。








『じゃあ、、帰ろうか?』

「、、うん。あ、でも今日は孝兄の家に用事があって。」

『なら孝んちまで送るよ。』







強めの口調で言われてしまい、素直に頷く。

帰り道は相変わらず何か話す訳でもなく、互いに無言で家路へと向かう。






変わった事と言えば、少し空気がどんよりとしていることくらいだ。


私たちのアパートの前まできたが、足を止める気配もなく通り過ぎていく彼。


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