約束のエンゲージリング
「うん、、私こそごめんね?でもマサ兄に気持ち伝えた事、後悔してないから。マサ兄こそ逃した魚はでかかったって後悔しても遅いんだからねっ!また〝妹〟として改めて宜しく御願いします。」
『千佳は、、いい女だよ。千佳の気持ちに応えられないのは俺の問題だから。』
顔を上げた彼があまりにも優しい顔で笑うから涙が出そうになった。
彼の心の傷を癒せるのは私じゃない。
もしかしたら一生、彼は傷を背負って独りで生きていくのかもしれない。
いや、寧ろそれを本人が望んでいるようにも感じた。
彼も胸の内を伝えられたのか、スッキリした表情をしていてこれなら大丈夫かなと思えた。
「じゃあ、、行くね?マサ兄、また明日ねっ!!」
『あぁ、また明日。』
彼に背を向けて中へと入った。
これで長い長い片思いが本当に終わった。
玄関のドアに背中を預けると、涙が一粒頬をつたって流れた。
でもそれ以上涙が出る事はなくて自然と笑みがこぼれた。
思い返せば本当に楽しい恋だった。
彼のおかげで毎日がキラキラしてた。