ブラック研究室からドロップアウトしたら異世界で男装薬師になりました
プロローグ
私は、大学構内を全力疾走していた。自分の荒い息と、廊下を踏む靴音が鳴り響いている。走るたびに、体を包む白衣の裾がひるがえった。目指すのは廊下の突きあたりにある広聴室。
取っ手を掴み、思いきり扉を押し開いた次の瞬間。パチパチ……大きな拍手の音が体を包む。私は呆然と広聴室の中を見回した。何百人もの学生たち。中央の舞台には見慣れた男が立っている。私の指導教官である原口だ。
彼は笑顔で学生に手を振っていたが、こちらに気づいて口もとをゆがめた。スライドに書かれていた研究タイトルは、私が手がけていたものと一致する。手にしていた紙束が、ばさりと音を立てて落ちる。
何ヶ月もかけて取り組んできた論文。それが一瞬で泡となって消えた。呆然とする私を嘲笑うように、万雷の拍手が鳴り響いていた。
取っ手を掴み、思いきり扉を押し開いた次の瞬間。パチパチ……大きな拍手の音が体を包む。私は呆然と広聴室の中を見回した。何百人もの学生たち。中央の舞台には見慣れた男が立っている。私の指導教官である原口だ。
彼は笑顔で学生に手を振っていたが、こちらに気づいて口もとをゆがめた。スライドに書かれていた研究タイトルは、私が手がけていたものと一致する。手にしていた紙束が、ばさりと音を立てて落ちる。
何ヶ月もかけて取り組んできた論文。それが一瞬で泡となって消えた。呆然とする私を嘲笑うように、万雷の拍手が鳴り響いていた。
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