ブラック研究室からドロップアウトしたら異世界で男装薬師になりました
「うちの子たちは変わっているな……」
ドナルドが苦笑する。ドナルドが父でなかったら、兄も私もおそらくこうは育たなかっただろう。私は転生者だからまた別かもしれないが。
ちなみに兄は魔法騎士として王宮に勤めているのだが、その際は普通に男性の格好なので大きなこだわりはないのかもしれない。父はカバンを手にし、娘と息子に手を上げてみせた。
「マリアの薬、今日も頼むよ。リナ」
「はい。いってらっしゃいませ」
「また後で、ダニエル」
「ああ」
私と並んで父を見送ったダニエルが息を吐いた。
「さて、俺もそろそろ行くわ」
「その格好で?」
「んなわけないだろ。部下に見られたらドン引きされるわ。馬車の中で着替える。じゃあな」
兄は着替えを抱えて出ていく。私は兄に手を振った後、屋敷に戻り、調剤室へ向かった。薬師が扱う薬剤の種類は多い。鎮痛剤や解熱剤、睡眠薬まで。
先月王宮で行われた薬師試験では様々な薬を作らされたが、大学院生だった私からすればさして難しいものではなかった。それでも、合格通知書を見たときはうれしくてそれを抱いて寝た。
ドナルドが苦笑する。ドナルドが父でなかったら、兄も私もおそらくこうは育たなかっただろう。私は転生者だからまた別かもしれないが。
ちなみに兄は魔法騎士として王宮に勤めているのだが、その際は普通に男性の格好なので大きなこだわりはないのかもしれない。父はカバンを手にし、娘と息子に手を上げてみせた。
「マリアの薬、今日も頼むよ。リナ」
「はい。いってらっしゃいませ」
「また後で、ダニエル」
「ああ」
私と並んで父を見送ったダニエルが息を吐いた。
「さて、俺もそろそろ行くわ」
「その格好で?」
「んなわけないだろ。部下に見られたらドン引きされるわ。馬車の中で着替える。じゃあな」
兄は着替えを抱えて出ていく。私は兄に手を振った後、屋敷に戻り、調剤室へ向かった。薬師が扱う薬剤の種類は多い。鎮痛剤や解熱剤、睡眠薬まで。
先月王宮で行われた薬師試験では様々な薬を作らされたが、大学院生だった私からすればさして難しいものではなかった。それでも、合格通知書を見たときはうれしくてそれを抱いて寝た。