ブラック研究室からドロップアウトしたら異世界で男装薬師になりました
「失礼。様子を見てきます」
アナに断りを入れ、騒ぎの中心へ向かう。皆、倒れている女性を取り囲み困惑している。誰も運ぼうとしないのか。内心苛(いら)立(だ)ちながらも、女性のそばに身をかがめた。
「大丈夫ですか」
「薬を忘れてしまって……」
そう言った女性の唇は青かった。チアノーゼだろう。
「大丈夫ですよ、落ち着いて」
私は彼女を運ぶのを手伝うよう、周りの青年に頼んだ。彼らは慌てて寄ってくる。思わず、頼まれる前に動きなさいよと毒づきそうになった。私は女性をソファに寝かせ、なにか持病があるかと尋ねる。
「臓器に病があって……発作を起こすことがあります」
私は「少々お待ちください」と言い、控え室へ向かう。医薬品などが常備してあるカバンを持ってきて、薬瓶を取り出す。女性は不安げに瞳を揺らした。
「それは……」
「応急処置ですが、発作を抑える薬です」
薬を差し出すと、彼女はそれを飲み、ふうと息を吐いた。弱々しくも笑みを浮かべてみせる。
「ありがとう……だいぶ楽になったわ」
「お役に立ててよかった」
立ち上がり、その場を去ろうとしたら声をかけられた。
「見事だね」
アナに断りを入れ、騒ぎの中心へ向かう。皆、倒れている女性を取り囲み困惑している。誰も運ぼうとしないのか。内心苛(いら)立(だ)ちながらも、女性のそばに身をかがめた。
「大丈夫ですか」
「薬を忘れてしまって……」
そう言った女性の唇は青かった。チアノーゼだろう。
「大丈夫ですよ、落ち着いて」
私は彼女を運ぶのを手伝うよう、周りの青年に頼んだ。彼らは慌てて寄ってくる。思わず、頼まれる前に動きなさいよと毒づきそうになった。私は女性をソファに寝かせ、なにか持病があるかと尋ねる。
「臓器に病があって……発作を起こすことがあります」
私は「少々お待ちください」と言い、控え室へ向かう。医薬品などが常備してあるカバンを持ってきて、薬瓶を取り出す。女性は不安げに瞳を揺らした。
「それは……」
「応急処置ですが、発作を抑える薬です」
薬を差し出すと、彼女はそれを飲み、ふうと息を吐いた。弱々しくも笑みを浮かべてみせる。
「ありがとう……だいぶ楽になったわ」
「お役に立ててよかった」
立ち上がり、その場を去ろうとしたら声をかけられた。
「見事だね」