Legal office(法律事務所)に恋の罠 *番外編~ジェラシーは内密に~
「桜坂CEO・・・」
突然呼びかけられて驚いたのか、三浦は慌てて和奏の肩から手を離した。
馴れ馴れしく肩に触れていたのも気に入らないが、あからさまに手を離されても腹が立つ。
そんな黒い感情を押し殺したまま、奏はいつもの営業スマイルで二人に近づいた。
「何かトラブルでも?」
「ええ、女性スタッフが男性客に絡まれまして、夢谷弁護士にご相談させてもらっていました」
奏の問いに答えたのは、三浦マネージャー。
和奏はいつものアイアンフェイスに少しの不快感を滲ませて押し黙っている。
「男性客によるトラブルなら、私に連絡しなさい」
奏がきつめの口調で、三浦マネージャーに告げると
「いえ、この問題は、今日始まったことではないので、引き続き私が担当します。桜坂CEOはご心配なく」
間髪入れずに発言した和奏の態度は、出会った頃のように素っ気ないものだった。
「それでは、三浦マネージャー、私はこれで失礼します。桜坂CEOは何か私にご用ですか?」
チラッと奏を見た和奏の顔には笑顔はない。
一刻も早くこの場を去りたいという気持ちが表れているようで、奏の胸がキリッと痛んだ。
「いえ、松尾からトラブルと聞いたものですから」
「ご心配をおかけしました。私はこれから出掛けるところがありますので、失礼します」
丁寧にお辞儀をした和奏は、それ以降、奏に目もくれずに一目散にエントランスに向かって歩いていく。
それを追いかける三浦マネージャー。
「夢谷さん、タクシーまでご一緒しなくて大丈夫ですか?」
「ええ、一人で大丈夫です」
二人にしかわからない会話に、奏の胸がざわついた。
和奏の心がわりなのだろうか?
エントランス前のロータリーに停まっているタクシーに吸い込まれる和奏を見ながら、奏は呆然としていた。
突然呼びかけられて驚いたのか、三浦は慌てて和奏の肩から手を離した。
馴れ馴れしく肩に触れていたのも気に入らないが、あからさまに手を離されても腹が立つ。
そんな黒い感情を押し殺したまま、奏はいつもの営業スマイルで二人に近づいた。
「何かトラブルでも?」
「ええ、女性スタッフが男性客に絡まれまして、夢谷弁護士にご相談させてもらっていました」
奏の問いに答えたのは、三浦マネージャー。
和奏はいつものアイアンフェイスに少しの不快感を滲ませて押し黙っている。
「男性客によるトラブルなら、私に連絡しなさい」
奏がきつめの口調で、三浦マネージャーに告げると
「いえ、この問題は、今日始まったことではないので、引き続き私が担当します。桜坂CEOはご心配なく」
間髪入れずに発言した和奏の態度は、出会った頃のように素っ気ないものだった。
「それでは、三浦マネージャー、私はこれで失礼します。桜坂CEOは何か私にご用ですか?」
チラッと奏を見た和奏の顔には笑顔はない。
一刻も早くこの場を去りたいという気持ちが表れているようで、奏の胸がキリッと痛んだ。
「いえ、松尾からトラブルと聞いたものですから」
「ご心配をおかけしました。私はこれから出掛けるところがありますので、失礼します」
丁寧にお辞儀をした和奏は、それ以降、奏に目もくれずに一目散にエントランスに向かって歩いていく。
それを追いかける三浦マネージャー。
「夢谷さん、タクシーまでご一緒しなくて大丈夫ですか?」
「ええ、一人で大丈夫です」
二人にしかわからない会話に、奏の胸がざわついた。
和奏の心がわりなのだろうか?
エントランス前のロータリーに停まっているタクシーに吸い込まれる和奏を見ながら、奏は呆然としていた。