片想い同盟


***


─────キーンコーン……。


「よし、部活部活ー」


午後の授業終了のチャイムが鳴った瞬間、前にいた拓海がすぐさま席を立った。



「なに?今日は特別やる気だね」

「バーカ。俺はいっつもやる気だっつの」


子供みたいにベーっと舌を出して私に言ってくる拓海は、驚くくらいの速さでカバンに荷物を詰める。


いや、サッカー好きなのは知ってるけど。それにしても今日はなんだか特別ウキウキしている。



「じゃあな、杏。お先ー」

「あ、うん。頑張ってねーっ」


いつもなら少し私と雑談をしてから部活に向かうのに、それもなく拓海は教室を出て行ってしまった。


ちょっとつまんない、なんて思っちゃったり。



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