片想い同盟
……なんて。本当は拓海に八つ当たりしてる節もあるんだけれど。
優希くんの笑顔の先の彼女の姿が、脳裏に浮かぶ。
私に向けてくれた笑顔とはやっぱり違うその表情を見てしまったから、その悔しさと切なさを誰かのせいにしたかった。
……拓海が、余計なことしたから。だから、余計に惨めに感じた。
そう思っていないと、自分の哀れさが浮き彫りになる。
「杏。こら、杏樹」
「……」
「おーい。無視すんなー」
そんな理由で最低な態度をとった私なのに、拓海はしつこいほどに声をかけてきた。
そのことになんだか申し訳なさを感じて、合わせなかった視線を彼へと向ける。
「そんなふくれっ面すんなって。まぁ、その、あれだ。悪かったよ」
すると珍しく謝ってくるものだから、私はつい拍子抜けしてしまった。