片想い同盟
□ 彼の好きな人
ある日の昼休みのこと。
「あれ、遠山さん?」
1階の多目的ホールにある自動販売機で飲み物を選んでいると、大好きな声が私を呼んだ。
「ゆ、優希くん。……こ、こんにちは」
「ははっ、こんにちは。珍しいね、こんなところで会うの」
「そうだね。優希くんはよく来るの?」
まさかの優希くんとの出会いに、緊張と喜びを隠しきれない。
ややどもりながらも、せっかく会えたんだからと、少しでも長く話したい一心で話題を伸ばした。
「ううん。今日は弁当忘れちゃって。売店に買いに来たんだ」
「そうなんだ。あっ、新しく出た焼きそばパンがすごく美味しいって友達が騒いでたよ」
「え、まじ?じゃあそれにしようかな」
ちょうど昨日拓海が騒いでた話題を思い出して、それを話す。
拓海ナイス。よく昨日焼きそばパンの話をしてくれた。
心の中でやつにお礼を言いながら、私は久しぶりに会えた優希くんの姿をしっかりと目に焼き付けた。