片想い同盟
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「わー、もうすっかり遅くなっちゃった」
学校を出る頃には、もう辺りはすっかり薄暗くなっていた。
それでもやっぱり空気は蒸していて、暑い。
「杏が数学手こずりすぎなんだよ」
「えー、拓海に言われたくないんだけど。あれだけ英語に苦戦してたくせに」
「俺は日本人だからいーの」
「うーわ、ヘリクツだ」
2人でギャーギャー言い合いながら、駐輪場へ向かう。
運動の中で唯一拓海に勝てるのがバドミントンなように、勉強の中では唯一英語が拓海に勝てる科目だ。
「今日はなににするの?」
「うーん、今日はカリカリ君の気分だな。ソーダ味」
お互い自転車に乗った私たちは、そんな会話をしてからペダルを漕ぎ出す。