片想い同盟


***

「わー、もうすっかり遅くなっちゃった」


学校を出る頃には、もう辺りはすっかり薄暗くなっていた。

それでもやっぱり空気は蒸していて、暑い。


「杏が数学手こずりすぎなんだよ」

「えー、拓海に言われたくないんだけど。あれだけ英語に苦戦してたくせに」

「俺は日本人だからいーの」

「うーわ、ヘリクツだ」


2人でギャーギャー言い合いながら、駐輪場へ向かう。


運動の中で唯一拓海に勝てるのがバドミントンなように、勉強の中では唯一英語が拓海に勝てる科目だ。



「今日はなににするの?」

「うーん、今日はカリカリ君の気分だな。ソーダ味」


お互い自転車に乗った私たちは、そんな会話をしてからペダルを漕ぎ出す。


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