片想い同盟


このテスト期間中、いつにも増して私が拓海といたからどうやら反感を買ったらしい。


「でもね、拓海」

「あ?」


慌ててすぐに続きを言おうとしたけれど、拓海はすでに不機嫌モード。


まったく。私ひとことも『拓海ファンに』だなんて言ってないのに。

優しいに加えて、察しもいい。


けれど残念ながら、察しがいいのはあんただけじゃないんだよ、バカ拓海め。



「私いま、かなり優越感に浸ってるから」

「……優越感?」


いまこうして拓海が不機嫌になっている対象は、私でもその女子たちでもない。


こんなことわかってあげられるの、私くらいだ。

だからこそ、ちゃんと訂正しておかないと。


< 190 / 341 >

この作品をシェア

pagetop