片想い同盟
「誰!?どのクラスの子?」
「バカ、うるせぇ!やめろそのキラキラした顔!」
「えぇー。いいじゃーん。教えてよ!」
私の全好奇心が拓海の好きな女の子へと捧げられ、私は全力で彼の事情聴取へと流れを切り替える。
あの拓海に、好きな子だなんて。
優希くんへの気持ちがバレてからずっと私だけが話してたから、今度は拓海が話す番だ。
「私、絶対他の人に言わないよ?むしろ協力するよ?」
「しつけぇな!人のことより自分の恋愛に集中しろって」
どれだけ聞き出そうとしても、拓海は断固としてその子の名前は言おうとしない。
けど、そこまで頑なだと好きな子がいるのは間違いなさそうだ。
「へぇー。ふぅ〜ん」
「……最悪だ。杏お前、めんどくさいぞ」
「いいもーん。人の恋路に先に突っ込んできたのそっちでしょ?」
拓海が先だ。うざがられようとも、絶対に聞き出してやる。
私の好きな人だけがバレてるだなんて、そんなの不公平だもん。