片想い同盟


が。いくら手は優しくても、今回の撫で方は高速。



「ったく、お前は〜!せっかく気遣ってやったのに」

「わっ、ちょ、ちょっと……っ」


わしゃわしゃとまるで犬のように頭を撫でられながら、拓海がこの場所で私を帰そうとした理由を、なんとなく理解した。



あぁ、そっか。サッカー部がいるからだ。


拓海は気にしてくれてたんだね。

そこにいるであろう、優希くんと白石さんのことを。


思わず笑いそうになったけど、この状況で笑ったら余計に髪がボサボサになりそうでなんとか抑える。



……バカだなぁ。優しすぎるよ、拓海。

私はそんなことすっかり忘れてっていうのに。

むしろ、拓海と離れるのが寂しい、なんて、それしか考えてなかったのに。


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