片想い同盟


「わっ、雑、雑!拓海ごめんって!許してください〜」


もはや髪というか、頭をぐりんぐりん回されているような感覚で、ようやく離してもらってもなんとなくまだその触感が残っていた。


こんなときでさえ、夏休み中は拓海とこんなことすらできなくなるんだと、そればかりが頭をよぎる。


かなり重症かも、私。



「まぁ、部活はあるけど、休みの日もあるからそんときは会えるし。それに、メッセージと電話ならいつでもできるから」

「えっ、本当?」

「ふはっ、犬かよ。杏ちゃん、そんなに俺と離れるの寂しい?」


その言葉にあまりにも咄嗟に反応してしまったものだから、拓海はそんな私をみてニヤリと笑う。


う……もうさっきから恥ずかしいことだらけだ。

なんかもう、変。
拓海のせいでずっと一喜一憂してる気がする。



< 212 / 341 >

この作品をシェア

pagetop