片想い同盟


その内容とは、久しぶりに中学のみんなで集まらないかというお誘いだった。


場所は、地元で行われる夏祭り。


どうやら拓海も、私とは別グループで夏祭りの誘いが来ていたらしい。


『俺も今日誘い来てたわ。杏わかるかな、同じ中学だった安達ってやつ』

「あー……、たしかサッカー部だっけ?」

『そうそう、そいつから連絡来てた。3年間部活もクラスも同じ、俺の腐れ縁な』



安達くんへの言い方がおかしくて思わずくすりと笑う。


彼も拓海と同様、顔と名前だけはかろうじて認識してるレベルだ。一度も話したことはなかった気がする。



『杏は行くのか?夏祭り』

「うん、久しぶりに会いたいし、私はOKの返事したよ」


ベッドに腰掛け、机に置いておいた麦茶をひとくち飲む。


ひんやりと冷えたそれが喉を通ったタイミングで、『じゃあ俺も行こうかな』と拓海は呑気な返事をした。


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