片想い同盟
変な闘争心が湧いてきて、私はもう一度聞き出そうと拓海に詰め寄ろうとした、そのときだった。
「拓海くーんっ!ちょっといい?」
教室の外から、他クラスの女の子が声をかけてくる。
元気に呼ぶその女の子の後ろには、もう1人。うつむいてる様子のその子の顔は、真っ赤だった。
……あぁ、なるほど。
「おーおー。お呼びですよ、お兄さん。仕方ないからこの話の続きはまた後にしてあげる」
「うっせ。なんでお前が上から目線なんだよ」
「ほーら。いいから行ってこーい」
そんな子を見てしまったら、事情聴取なんてしてる場合じゃない。
その子を待たせないようにと、私はだるそうに腰をあげる拓海の背中を押した。
「悪りぃ。で、何?」
「あっ、あの……ここじゃあれなので、移動……しませんか」
真っ赤に顔を染めたその子を見て、ただただ感心する。