片想い同盟
こんなことで動揺して、バカみたい。
拓海は間違ったことを言っていない。
……私たちは、付き合ってない。
いままで否定も肯定もしてこなかった方が曖昧でおかしかったんだ。
否定が、正しい答え。
「……ごめん、香里奈。みんな待たせてるよね」
「え?あぁ、うん。でも、」
「大丈夫。行こっか」
にこりと笑って、香里奈の手をとる。
「じゃあ拓海、私たち行くね」
「え?」
「みんなを待たせてるの」
そう言って少し先に待っている3人を指差すと、拓海は納得したように「おう」と言った。
続けて「またな」という言葉に私は軽く頷く。
またあとで。
私と拓海しか知らない、このあとの約束のこと。