片想い同盟


少し眉を下げて笑った香里奈は、待っていた3人に声をかけた。


「ごめーん。ちょっとお手洗い行ってくるから先に行ってて!あとで合流しよう」


そう言い終えると、今度は香里奈が私の手を引いて脇道へとそれる。



会場の隅に設置されてあったベンチを見つけると、彼女は「座ろう」と言って私の手を離すと、そこに腰掛けた。



なんとなく黙ってしまう私に、香里奈も黙って夜空を仰ぐ。


「……なにも聞かないくせに連れ出したんだ」

「じゃあ、根掘り葉掘り聞いてあげよっか?」


ふふっと笑う香里奈に私もなんだか安堵の笑みがこぼれて、彼女の横にちょこんと座った。


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