片想い同盟


たぶん、心のどこかではわかっていたんだと思う。けど、ずっと認めずに、考え込むだけで終わらせていた。



だって、相手は拓海。

元はと言えば私たちは、お互い別に好きな人がいるのが前提でできた関係だ。


それがいまになって、……好き、だなんて。



認めた途端心臓の音はドキドキ音を立てて、そしてまたキュッと締め付けられるように苦しくなる。


……あぁ、もう、重症。



「唐沢くんって、あんな風に優しく笑うんだね」

「え?」

「だってほら、中学のときは女子と関わるイメージない人だったし」


突然話し出した香里奈は、私の顔を見てニッと笑う。


……って、ていうか、相手が拓海だってバレてるし……っ。


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