片想い同盟
あー、本当やばいかもしれない。
杏が告白もどきをされたあの夏休み最終日から、自分でも知らない本性がどんどん浮き彫りになってる気がする。
……くっそ、好きだなんて自覚すんじゃなかった。
そうは思っていても、"他の男に奪られたくない" だなんて感情が溢れてしまっては、もう自覚せざるを得ないんだから仕方ない。
「まぁでも、唐沢のお気に入りじゃあ俺も手は出せないな」
「は?」
ラムネを飲み干したらしい安達は、中に入ったビー玉を除きながら、唐突にそう言った。
思わず目を見開く。
「だってそうだろ?お前のその態度見てりゃわかるよ」
「なんのことだか」
「うーわ、わかりやす。つーかそもそも、唐沢が女子を下の名前で呼ぶこと自体がまずありえないから」
自覚あるだろ、とまで言われてしまえば、もう返す言葉が見つからない。