片想い同盟


ふと、ポケットにしまっていたスマホのバイブが鳴った。


自分でも引くくらい瞬時にそれを手に取って、画面を確認する。


……ったく、だせぇな。
必死かよ、俺。


情けない自分に苦笑しつつも、その通知音の送り主の名前を見ただけで気持ちは高ぶってしまう。


送り主は杏で、『いま友達と解散した』とのことだった。



「安達、俺抜けるわ」

「えっ、は?もう?」

「悪りぃな」


それだけ言って、俺は一緒に来たメンツに声をかけてその場を離れる。


みんなに久々に会えてよかった。

けど、悪いがいまの俺にはもっと会いたいやつがいる。


< 243 / 341 >

この作品をシェア

pagetop