片想い同盟
あー、会いたかった。
さっきの一瞬だけで足りるわけがない。
ここまで杏がそばにいることが当たり前になっているとは思わなかった。
ましてやその距離感に、俺がどれだけ安心していたかなんて。
思いっきり頭を撫でて触れていたいけれど、今日は髪も可愛くしてるみたいだから我慢。
改めてしっかり見ると、やっぱり今日のこいつは特別可愛い。……悔しいくらいに。
思わず凝視してしまって、おかげで杏は怪訝そうな表情だ。
「な、なに……」
「んー?今日の杏ちゃんは可愛いなぁと思って」
「な……っ。ま、またそうやってからかって」
一瞬目を丸くした杏は、その直後照れたようにプイッとそっぽを向く。
……これでも一応、結構勇気出して言ってるんだけど。
まぁそんなこと、こいつに伝わるわけもない。