片想い同盟
「ていうか杏お前さ。高野と間接キスとかできたりするわけ?」
「……っ、は!?何それ!むっ、無理無理無理!」
「ははっ、だよな」
そして何を言い出すかと思えば、まさかの想像すらできない例え話。
優希くんと、かっ、間接キス!?
まずそんなシチュエーションになることがないし、そもそもそのチャンスがあったとしてそんな芸当私にはできない。
いやっ、ていうか。チャンスとかすら、思っていい立場じゃない……し。
「ふぅん。じゃあコレは相手が俺だからできるってわけね」
「へ?」
呆れたように笑う拓海の手元には、空のサイダーのペットボトルがあって。
「だってそれは、拓海だからでしょ?ていうか、あんたこそ私の飲み物とか勝手に飲むじゃん」
「ははっ、確かに。俺も杏だからできる」