片想い同盟


少し前までは辛すぎる光景だった。


それでもいまは、そんな2人よりも楽しそうにボールを蹴る拓海ばかりを見つめてしまう。


「ふふっ、わかりやすいなぁ」


わかりやすいくらいに楽しんでいる拓海の姿に、思わず笑みがこぼれた。



あー、どうしよう。ずっと見てられるかも。



ふと、拓海に好きな人がバレた、あの放課後のことを思い出す。


一緒にグラウンドを見下ろしていた相手を、こうして私が見つめる日が来るなんて。



……好き、だなぁ。


そんな少し前の片想いを思い出しながら、私はいま好きでたまらないその人をしばらく眺めていた。


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