片想い同盟


「杏樹ちゃんは、これね」

「え?」


ただただ衣装のクオリティの高さに感心していただけだったのに、不意にどこからともなくやってきた黒い衣装。


それを差し出したクラスメイトは、なぜかにっこりと笑っていた。



「え、私も着るの……?ていうかこれ、なんの衣装?」

「まぁまぁ、着てみたらわかるって!」


ぐいぐいと背中を押されて、そのまま教室の隅に作っておいた簡易試着室に押し込まれる。


私は実行委員ってことで、いろいろと動きやすい受付の担当だったはずなんだけど……。


首を傾げながら、ゆっくりとその衣装を広げて目を丸くした。


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