片想い同盟


……やっちゃった。やって、しまった。


滲んでいく視界の中、無我夢中で廊下を走る。



あんなこと言うつもりじゃなかった。

ほんと、最低だ、私。



走るスピードがどんどん遅くなっていって、ついにその足は立ち止まってしまった。


……私、こんなに心の狭い人間じゃなかったはずなのに。

どんどん欲張りになって、あんな事態でさえモヤモヤしてしまう自分が嫌で仕方ない。



「……あ、チェックシート」


ふと、手の中にある仕事の存在を思い出して、くるっと踵を返した。


チェック項目、ちょうど全部埋まっててよかった。


理科室にいる実行委員長にこの用紙を渡せば、今日はもう終わり。


目が腫れてる気がして顔をうつむかせたまま、私はそれをやり遂げて、そのままあてもなく校内を歩いた。


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