片想い同盟
□ 片想い同盟結成
熱気集まる体育館。シューズと床が擦れる音。賑やかな声。
そして……。
「おいこら、杏。お前ちょっとは手加減しろよ!」
「やなこった!男のくせにみっともないぞー」
「この……っ!」
私と拓海の、喧嘩という名の勝負。
お昼ご飯も食べ終わった5時間目の今、私たち3組は体育の授業でバドミントンをやっていた。
バスケやバレーなら男女別だけれど、バドミントンは男女一緒。
中学時代バドミントン部だった私が、運動神経のいい拓海に勝てる唯一のスポーツだ。
「はーい。私の勝ちー」
「くっそ!なんで杏なんかに」
「んー?何か言ったかなー?」
当然のことながら、このバドミントン勝負は私の勝ち。
悔しがる拓海に、満面の笑みでピースをした。