片想い同盟
「にしても、今日の遠山さんは特別可愛いよなぁ。よりにもよって喧嘩中にあんな格好されちゃ、そりゃお前もぼけっとするわ」
「……は」
不意に言われた言葉に、思わず低い声が出た。
杏が可愛いことなんてわかってる。男連中が騒いでることだってわかってる。けど。
「俺、喧嘩したなんて一言も言ってないけど」
「はぁ?そんなの、言われなくたってみんな気づいてるだろ」
当たり前のようにそう言われて、初めてその事実に気がついた。
周りからもバレているくらい、俺と杏との距離は離れている。
よくよく考えたら、そんなことわかるはずなのに、周りからどう見られているかなんて考えもしてなかった。