片想い同盟
□ 私と彼の好きな人
* 杏樹 side *
……拓海に触れられた頬が、一気に熱を帯びた。
「……っ、え」
突然すぎて、びっくりしすぎて、意味がわからない。
情けなくも、私はまともに声を出せなかった。
真っ直ぐに私の目を見てくる拓海の視線に、心臓の音がどんどん早くなっていくだけ。
「もう一回言ってやろうか」
「……や、えと、」
「杏のことが好きだよ」
「……っ!」
もう何度聞いても、その言葉は私には夢みたいで。