片想い同盟


それから一度制服に着替えた私は、拓海と2人で学校祭をまわることになった。

……のは、いいんだけど。


「なんか、拓海が拓海じゃないみたい」

「ははっ。なんだよそれ」

「だって、これ……」


廊下を歩く私の右手はいま、しっかりと拓海の左手に捕まえられている。


それがなんだかくすぐったすぎて、かえって違和感。



「なーに、もしかしてドキドキしてんの?杏ちゃん」


ニタニタと笑う拓海に反撃したいけれど、本当にドキドキしてしまっている手前、素直にコクリと頷くしかない。


だって、ドキドキするよ。

好きな人とこうやって手を繋いで歩くなんて、ドキドキしない方がおかしい。


< 330 / 341 >

この作品をシェア

pagetop