片想い同盟
それから一度制服に着替えた私は、拓海と2人で学校祭をまわることになった。
……のは、いいんだけど。
「なんか、拓海が拓海じゃないみたい」
「ははっ。なんだよそれ」
「だって、これ……」
廊下を歩く私の右手はいま、しっかりと拓海の左手に捕まえられている。
それがなんだかくすぐったすぎて、かえって違和感。
「なーに、もしかしてドキドキしてんの?杏ちゃん」
ニタニタと笑う拓海に反撃したいけれど、本当にドキドキしてしまっている手前、素直にコクリと頷くしかない。
だって、ドキドキするよ。
好きな人とこうやって手を繋いで歩くなんて、ドキドキしない方がおかしい。