片想い同盟


「なんか、いつもやってることなのに、急に意識しちゃうな」

「え?」

「コレだよ、コレ」


サイダーを飲んだ拓海は、ふとその容器に目を向けた。


ニッと笑いながら、いま飲んだばかりのはずなのにまたそれに口をつける。

そして、蓋をすることもなく「はい」と私に差し出してきた。


「え……っ?」

「ほら、飲んでみ?」


含んだ笑みを浮かべる拓海の考えていることは、なんとなくわかった。


そ、そうやってまた急に変なこと言う……。


「あれ、杏ちゃん。どうかした?」

「もう、バカ」


全然意識してなかったはずなのに、拓海がそうやって言うから、サイダーを飲むだけなのに変にドキドキしてしまう。


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