片想い同盟
「拓海が悪いんだからね」
「お前だって意識しまくりのくせに」
お互い憎まれ口を叩くのはいつものことなのに、やっぱりどこかふわふわしていて、すごく変な感じ。
「あーっ。なんか、すっげぇムカつく」
「なにがよ」
突然そんなことを言った拓海は、上に向かって伸びをした。
それから腕を下ろして、私の目を見て。
「さっきから、お前のこと可愛いとしか思えないんだけど」
「なっ……」
「ほんっと、可愛すぎてムカつく。俺のことこんなにして……、ちゃんと責任取れよな」
グイッと手を引っ張られたのはその直後。
学校祭中は誰も通らないであろう廊下の奥にある階段横の影に入った瞬間、私はその腕に抱き締められた。