片想い同盟



も、もっとちゃんとした格好のときに会いたかったよ……。


や、でも会えたことは嬉しいんだけどね。すごく。



そんな複雑な乙女心に悩まされながらも、拓海と話してる優希くんの姿を少しでも長く目に焼き付ける。


が、そんなとき。


「優くーん!もう、置いていかないでよ〜」


この場にもう1人。とっても可愛らしい人物がやってきた。



「あぁ、ゆめ。ごめんごめん」


その瞬間に、例によって優希くんの表情は今まで以上に優しくなる。


パタパタと小走りでやってきたその子……白石さんは、むっと頬を膨らませながら私たちのところへとやってきた。



その綺麗な黒髪が揺れて、ふわっと香る甘いにおい。



……なんだ。白石さんも、いたんだ。


そんなことを思ってしまう私は、なんて性格が悪いんだろう。



< 34 / 341 >

この作品をシェア

pagetop