片想い同盟
も、もっとちゃんとした格好のときに会いたかったよ……。
や、でも会えたことは嬉しいんだけどね。すごく。
そんな複雑な乙女心に悩まされながらも、拓海と話してる優希くんの姿を少しでも長く目に焼き付ける。
が、そんなとき。
「優くーん!もう、置いていかないでよ〜」
この場にもう1人。とっても可愛らしい人物がやってきた。
「あぁ、ゆめ。ごめんごめん」
その瞬間に、例によって優希くんの表情は今まで以上に優しくなる。
パタパタと小走りでやってきたその子……白石さんは、むっと頬を膨らませながら私たちのところへとやってきた。
その綺麗な黒髪が揺れて、ふわっと香る甘いにおい。
……なんだ。白石さんも、いたんだ。
そんなことを思ってしまう私は、なんて性格が悪いんだろう。