片想い同盟


「……好き」


思わずこぼれた言葉に、拓海はフッと目を細めた。



ねぇ、拓海。

恋って、やっぱりすごくいいね。


報われないとわかっていた不毛な恋をしていた私たちだけど、お互いにお互いがいたから、きっといまがあるんだよね。





「ねぇ、拓海」

「うん?」


こんなことを言ったら、きっと拓海は呆れるかな。



「いまは私たち、"両想い同盟"かな」


そう言った私の言葉に、やっぱり拓海は呆れ顔で笑って。





「バーカ。"恋人"って言うんだよ」




【Fin.】



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