片想い同盟
「よーし。これでどうよ?」
「どうよって……あんたねぇ」
満足気に笑って手を離す拓海に、ムッと睨みつける。
当然そんな雑な手直しで髪型が元に戻るわけもなくて。
「余計にぐしゃぐしゃにしてどーすんのよ!」
「わー、杏が怒った。おっかねぇ」
「拓海〜!」
ケラケラと笑って逃げる拓海の背中を一発でも叩いてやろうと、私は必死だった。
だから、あまりにも不意だったんだ。
「わっ、ふたりって仲良いんだね」
突然耳に入った、弾んだソプラノ。
こんな朝から、またこんな形で会うなんて思ってもみなかった。