片想い同盟
しっかりしろ、とでも言われた気がした。
急にしおらしくなるなんて変だよね。わかってるってば。
拓海は、私以上にこの2人が一緒にいるところを見てきている。改めて、それがどんなにすごいことがわかるよ。いまこの瞬間だけでも辛いのに。
「2人とも、家近いの?」
「えっ?あ〜…うん、中学同じだから」
「そうなんだっ!私たちと一緒だね、優くん」
ぎこちない私の喋りにも、緊張してるだけだろうと思ったのか白石さんは無邪気に笑う。
そんな彼女に笑顔で頷く優希くんの姿を、もう見ていられなかった。
彼女は悪くないのに、どんどん黒い感情が溢れてくる自分が嫌になる。
「やべ、俺今日の宿題やってないんだ。杏、見せて」
「は?なに言っ……」
「早くしねぇと時間ないから!じゃあな高野、白石さん。また部活で」