片想い同盟



しっかりしろ、とでも言われた気がした。


急にしおらしくなるなんて変だよね。わかってるってば。


拓海は、私以上にこの2人が一緒にいるところを見てきている。改めて、それがどんなにすごいことがわかるよ。いまこの瞬間だけでも辛いのに。



「2人とも、家近いの?」

「えっ?あ〜…うん、中学同じだから」

「そうなんだっ!私たちと一緒だね、優くん」



ぎこちない私の喋りにも、緊張してるだけだろうと思ったのか白石さんは無邪気に笑う。


そんな彼女に笑顔で頷く優希くんの姿を、もう見ていられなかった。



彼女は悪くないのに、どんどん黒い感情が溢れてくる自分が嫌になる。



「やべ、俺今日の宿題やってないんだ。杏、見せて」

「は?なに言っ……」

「早くしねぇと時間ないから!じゃあな高野、白石さん。また部活で」



< 45 / 341 >

この作品をシェア

pagetop