片想い同盟
勝手に話を切り上げた拓海は、「早く」と私を急かして玄関まで走っていく。
なんとなく流れで私まで慌ててしまって、2人に挨拶をして拓海のあとを追った。
「ちょっ、あんた、早すぎ……っ」
「ったく、体力ねぇな」
玄関で待っていてくれたらいいものを、拓海は靴を履き替えるとまた走って教室まで向かう。
急すぎる展開でわけもわからないまま、私も走って教室に着いた頃にはヘトヘトだった。
サッカー部と帰宅部の差をなめないでほしい。酸素補充させて。
「で、宿題ってなによ……。そんなのなかったじゃない」
「あぁ、あれウソ」
「は……っ?」
息も絶え絶えに聞くと、本人はシレッとした顔でそう言った。
思わず目を丸くして、顔を見上げる。
ウソ?こんなに走らされて?