片想い同盟
一瞬、私たちの間に沈黙が訪れた。
なんでわざわざそんなことを言うんだろう。やっぱり拓海は性悪だ。
けれどあいにく、そんなんで落ち込むほど私の恋は甘くない。
「知ってるよ」
あくまで冷静に、私は笑って答えた。
舐めてもらっては困る。そんな情報、とっくに入手済みだ。
「……は?だったらなんで」
「だって、それ知ったところでやめられないんだもん。好きなの」
優希くんが好きな人は、クラスも、顔も、名前も。全部知ってる。その子の気持ちも……わかってる。
けど、それを知ってなんだというんだ。
へぇー、好きな人いるんだー。じゃあ好きなのやめよう。……なんて、そんな都合よく切り替えられるほど私は器用じゃない。